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Q.過去には狭小住宅も手掛けておられるんですよね?

A.
狭小住宅は建築のジャンルの中でも奥の深い要素をかなり内包しています。
普通の計画では住み手が満足する空間なんて到底できません。
空間的、感覚的な豊かさの追求がより必要とされます。

よくある2次元的、平面的な発想でなく3次元空間を有効に活用し、
想像しなければなかなか豊かな空間としては成立しません。
個別解、特殊解も必要ですし、私たち建築家の発想が必須とされる仕事ですね。

極小空間という意味においてはいわゆるワンルームマンションにも通じるところがあります。
狭く単層なので発想の転換をしないと良い提案はなかなかできませんが、
まだその余地はあると思っていますので、機会があれば提案していきたいと思っています。

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Q.マンションごとのコンセプトは、どのように決められますか?

A.
個別解としての細かなコンセプトはそれぞれあります。
それは敷地のもつスペックだったり用途的必然性や常に制約がつきまとう様々な素材の表現方法などからくるものでして、一般的に理解されている装飾的な意味でのコンセプトは私自身持ち合わせていません。

また、細かなコンセプトの基盤にあるのは自分が建築(空間)と向き合うスタンスで、それはやはり変わらないものです。例えば用途の違う戸建住宅や店舗デザインについても同じ考えからつくられています。

三次元空間をどう提案するかなんですが、
よくある空間であればその空間のもつ概念は変わらないと思います。
ですが当たり前にある色んな建築的要素を取り払ったり、
違う解釈に導いていくと、
いつも感じる空間体験とまた違う体験ができるのです。

空間の大きさが頭の中で変化したり、
その場に居ながら違う所に身を置いているような感覚になったり、
現代アートが見る人に与える想像力と同じように空間に身を置いている人に様々な想像力を与える様な空間をつくる事ができればと。

そのような意味で空間を昇華させたいと考えています。

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Q.デザインについてお尋ねしたいのですが。

A.
ものをつくるにはそのものがどうあるべきかというある種の必然性があり、
建築はそんな必然性のしかも多種多様な必然性の固まりみたいなもので、
それを形にする事が建築のデザインなのです。
そうでないと装飾になってしまい、
デザインとは意味の違うものになると考えています。
ですので、必要のないものを取り付けてごまかすような事をせず、
必要な部材を一つ一つ丁寧に配置し、
極力その空間性が壊れないように、
また引き立たせる事ができるように細部まで考えの行き届いた建築をつくれるようにと考えています。

建材と呼ばれるもので大部分は構成されていますが、
建築的な記号を強く感じるような量産品の使用も当然よくある事です。
ただ、提示したい空間性を発揮できるような量産品があるかというとなかなかそうではないので、
使う場合は極力空間性を邪魔しないようなものを選んで配置していくように実務レベルでは心がけています。まぁ当然の話ですが‥‥
量産品でなく特注品で全てつくることができればいいのですが、
収益マンションの経済性や現時点の相場などを考慮すると、
なかなか難しいのが実情です。
関西でもデザイン的付加価値がより理解されるようになればと
日頃から強く感じております。

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Q.GGRのデザイナーズ・ルームが好評でした。

A.
量産品の使用が通常化していたミニキッチン、洗面台、下駄箱を
部分的に製作品とした事や
キッチン、居室間の扉を枠が極小の框戸にした事で
前述のような建築的な記号を強く感じるものを少し消去できた。
それにより水廻りの野暮ったさを改良することができ
より空間を統一できたことが良かったのだと思います。

また、洗面台は収納を鏡の内部に隠すようにしただけですが
ドライヤー、整髪料、歯ブラシ等
生活感を感じるようなものが見えなくすっきりと生活ができる。
もちろん使い勝手も全く問題ありません。
ちょっとしたことですが、日常生活での体感としては大きな所です。
特に女性にとってはこういった配慮は
部屋選びの決め手の一つにもなるのではないでしょうか?

収納などに工夫がされていれば
より簡単にすっきりした生活がしやすくなります。
そうなると日頃の生活が少し楽しくなったり
友人を招きたくなったりと住んでいる部屋にそしてマンションに
より愛着を感じるのではないでしょうか?
そういった日常のちょっとした生活の心地よさや利便が
人気のあるマンションづくりの重要な部分になるのではと考えています。

またデザイン的付加価値として私たちが必要とされる
大きな部分でもあるのではと思っています。

鷹取久アーキテクトオフィス・プロフィール